AIは魔法の杖ではない
「AIを導入すれば、人の作業をAIが肩代わりしてくれるので、作業者を減らすことができる」
製造業の方々でAIに対して、このような期待を抱いている人は多いのではないでしょうか?ただ残念ながらAIは魔法の杖ではないですし、いきなり上記を達成することは容易ではありません。最初から高すぎる目標を設定してしまい、いつまで経ってもAIのPoCが終わらないというのも、ありがちな話かと思います。そこで今回は、弊社のAIソリューションでもあるAIスクエアでも提唱している、 (とりわけAIを初めて導入するような)製造業様向けのAIの使い方について書いていきたいと思います。
まずAIでいきなり精度100%を実現することは容易ではないです。精度100%を実現するためには、かなりの量の学習データの準備と、学習を試行錯誤する工数が必要となり、結果的に初期のAI構築のコストが、気付けば回収できないほどに膨れ上がっているという話もあります。さらにAIはその判断根拠を説明がするのが難しく、それがリスクとなる場合もあります。最近ではXAI(Explainable AI=説明可能なAI)という概念が誕生し、研究も進んでいるものの、まだそれほど身近なものにはなっておりません。
製造業でAIはどう使えばいいのか?
ただ本当に100%の精度がなければAIは使えないでしょうか?例えば作業者1人で担当している検査業務を、AIで代行したいという話であれば、100%の精度(あるいはそれに近いもの)が必要となります。もちろんその検査の難易度にもよりますが、これをAIで代行することはハードルが高いです。しかし作業者2人のダブルチェックを行っている検査で、その一方をAIで代行するという話であれば、どうでしょうか?AIと作業者のどちらかが、これは不良かもしれないと気付くだけで、そこに精査が入りますので、不良が次工程に流出することはないはずです。つまり不良流出の確率=作業者が不良を見逃す確率✕AIが不良を見逃す確率となり、これを限りなく0に近づけることは可能だと思います。
日本の製造業では、ベテラン作業者の確保が難しく、知見の継承などにも課題を抱えている一方、ベテラン作業者の知見に頼っている作業も多いかと思います。そのような場合にも、AIがベテラン作業者の知見を補うことで、新人作業者でも担当可能な作業となる余地もあります。例えば弊社の部品識別ソリューション(AIスクエア)では、AIが対象部品の品番の候補を出力します。そうすると担当者の業務は、その候補との正誤をチェックするだけで済みます。従来でいえば、品番の候補を絞るという作業が、ベテラン作業者の知見にあたるところですが、これをAIで補うことで、部品識別業務が新人作業者でも担当可能となります。
最初にも話した通り、AIは何でもできる魔法の杖ではありませんが、その使い方を工夫することで、製造業の業務の役に立てるものと思っております。弊社のAIスクエアでは、理想はAIがベテラン作業者の業務を担当することである一方、まずは人+AIという使い方で、AIを活用していくことをお勧めしております。
AIスクエアの詳細についてはコチラ⇒https://www.aimnext.co.jp/service/ai-square.html