はじめに
日本では2026年度から排出量取引制度の本格稼働が予定されています。
排出量取引制度は、設定された温室効果ガスの排出枠より実排出量が少ない企業が、排出枠を売ることができるようになる仕組みです。
アメリカでは2013年から同様の制度が開始されています。
2025年4月22日に公開されたテスラの決算書を見ると、排出権取引による収益は5億9500万ドル(約860億円)と発表されています。
これはテスラの収益の3%を占めています。
(参考:https://ir.tesla.com/#quarterly-disclosure)
海外の動向
世界経済フォーラム(WEF)が2025年1月に発表したホワイトペーパー
『United for Net Zero: Public-Private Collaboration to Accelerate Industry Decarbonization 2025』
では、世界の温室効果ガス排出量の約30%を占める産業部門において脱炭素化を加速するための官民連携の重要性を提示しており、バリューチェーン全体でのネットゼロソリューションの実装について言及されています。
国内の動向
経済産業省、環境省でもバリューチェーン全体でのネットゼロを実現するためにカーボンフットプリント(CFP)の表示を推し進めています。
CFPとは製品やサービスの原材料から廃棄に至るライフサイクル全体を通した温室効果ガスをCO2排出量に換算した値のことであり、環境に配慮された製品(グリーン製品)がより選択されていくような市場を実現するための基盤となります。

工場は何をすべきか
これらの動きを受け、工場においては排出量データの測定と報告及び削減が求められます。
工場内での排出量データは工場全体で丸めてしまえばエネルギー消費量を電力会社などの請求を基に算出できますが、削減活動に繋げることはできるのでしょうか。
エネルギー消費量の内訳など全体を構成するそれぞれの要素を把握できていない状態では、できるアクションはかなり限られていると思います。
製造オーダー毎にどの設備でどれだけのエネルギーを消費しているか、を把握し、削減していくことが今後は市場での競争力を高める一つのポイントになっていくと考えられます。
最後に
弊社代表・清威人著の『スマート・ファクトリー』では、CO2削減などの社会的な問題、トレーサビリティ向上などの品質管理の問題、キャッシュフロー改善などの経営の問題を解決していくための戦略的アプローチを提示しています。
気になった方はお気軽にお問い合わせください。