「4Dプリンティング」とは何か?

4Dプリンティングとは、素材自体にプログラムを組み込み、トリガとなる条件(例えば、熱、振動、空力、重力、磁力、光などの環境から受け取るエネルギー)が発生した場合に、素材のプログラムが動くというものです。

https://www.ted.com/talks/skylar_tibbits_the_emergence_of_4d_printing?language=ja

スカイラー・ティビッツ(Skylar Tibbits)氏は、TEDの講演の中で、地中にある配管を例に説明しています。

例えば、地震による損傷や需要の変化により配管を交換する必要がある場合には、配管を一旦掘り起こして別の物に替えるという労力が必要になります。しかし、もし配管を構成する素材そのものに自己組織化という能力があれば、損傷した箇所を修復したり、配管の流量に応じて煽動したりすることが可能です。

スカイラー・ティビッツ氏は、Stratasys社との共同プロジェクトで物理的な素材の4Dプリンティングに取り組んでおり、またAutodesk社との共同プロジェクトでは、ソフトウェアによるシミュレーション技術により、4Dプリンティングした物体がどのように動くのが最適であるのかについて取り組んでいると話しています。

デモでは、ひも状の物体を水に入れると、自律的に折り畳み始めて”MIT”という文字になる映像を紹介しています。

またMITでは、自己組織化研究室を立ち上げて、人口環境向けのプログラム可能な素材の開発にも取り組んでおり、そのうちのいくつかはすでに実用化できるところまで来ているとのことです。

「4Dプリンティング」で実現できそうなもの

  • コンパクトに畳んで移動できる
    アウトドア用品には「ワンタッチテント」という便利なグッズがありますが、使用しない時や移動時などはコンパクトに折り畳んでおいて、いざ使う時に簡単に利用できる家具や建物ができると便利ですね。
    また、組み立てに時間が掛かるもの、組み立てが難しいもの、組み立てる環境が困難な場所などで自律的に組みあがれば、これまでのような労力は必要がありません。
  • 絆創膏代わりに
    最近は、傷口を保護すると共に自然治癒力を高めて、痛みをやわらげながら傷口を早くきれいに治す絆創膏がありますが、これと同様に傷口に貼り付けるだけで傷口を修復しながら、いつの間にか皮膚と一体化して治っているような素材ができたら良いですね。
  • 施工後の維持・管理コスト低減
    建物の外壁には、光触媒塗料というものがありますが、これは汚れが付きにくくなったり、雨や紫外線に対するダメージに強くなったりする便利なものですが、これに外壁の傷を自己修復するような効果を持つ塗料ができると、施工後の維持・管理コストが低く抑えられます。

4Dプリンティングはまだ発展途上の技術ですが、今度どのようなものが実用化されるのか楽しみです。

参考:
キビテク – IoTまとめ「4Dプリンタ」
ITmedia NEWS – 家具が自動で組み上がる未来も? 世界で広がる「4Dプリント」研究 (2018/5/18)
3D PRINTER NAVI – 3Dプリントを超える4Dプリントとは?