ISO22400

MES領域のKPI国際標準“ISO22400”

ISO22400とは、MES(製造実行システム)領域でのKPI(重要業績評価指標)と、それらを構成するデータの国際標準です。ISO22400では、生産性、品質、能力、環境、在庫、保全の6つの領域について、合計34項目のKPIを定義しています。

KPI一覧

また、各KPIごとに、定義式及び構成要素が定められています。それらの要素には、生産設備、生産システムから取得出来る情報はもちろん、作業者のオーダー別実作業時間といった、自動で取ることが難しい生産情報も含まれます。

以下の図は、『生産性指標』の1つである、『総合設備効率』の例になります。

OEE構成モデル

MES領域のKPI標準化の狙い

ドイツがIndustry4.0の取り組みの中で、最も重要視していることの1つが『標準化』です。
『つながる工場』の実現に向けて、センサー、制御機器などの工場設備から得られる情報を標準化することで、異なる工場設備から同一の指標を用いたベンチマーキングが可能になります。それはすなわち、異なる工場を横断した、経営情報と生産システムの現場との情報を統合的に可視化することができるようになるはず、と考えたのです。

ISO22400と他規格との関係

ISO22400は、ISA95(IEC62264:以下ISA95と呼ぶ)を参照して策定されています。ISA95は製造にかかわる業務機能の階層モデルを定義し、それぞれの階層で扱うデータを定めた規格です。ISO22400では、ISA95のなかでLevel3と定義された、MOM(Manufacturing Operation Management:製造操業管理)階層を対象領域としてKPIを定義しています。

KPI一覧

前述の通り、KPIの算出に必要なデータ群の中には、設備の中で発生するデータもあります。そういった設備からデータを取る際の通信規格として、OPC‒UAがあります。OPC‒UAは、「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」のReference Architecture Model Industrie 4.0(RAMI4.0)で通信層の標準とされており、OPC-UAを使ってISA95に定義されたデータを通信するための共通モデル(Common Object Model)もリリースされています。これらの標準により、多様な設備で発生するデータを、統一されたシステムや枠組みで収集・分析することを可能にしています。

ISO22400で定められたKPIを活用するメリット

ISO22400で定められたKPIを導入することにより、“同じ基準で異なる工程を比較することが出来る”ようになります。これは、1つの会社の中では当然のこと、異なる会社の間でも同じであり、狙いでもあります。特に欧州では、これを測定する仕組みが取引条件として求めてくる、という流れも出てくるのではないでしょうか。 そのような点とは別に、改めてKPIの本質的な意味を考えてみると“経営として目指す方向と度合いを示す道標”と言えるのではないでしょうか。全社の指標が事業部、部門、とブレイクダウンされてゆき、製造現場が目指すべき方向性についても全社の目標達成に繋がるはずです。ISO22400では、それを考える上でのひな型が提示されています。この中で“何をどの程度重視し”、“どの程度の基準を設定するか”を決めることを通じ、経営として工場に求めるものを示し、現場と工場が連携したマネジメントを構築することが出来ると我々は考えます。

ISO22400のKPIを活用するメリット

KPIの運用に求められる仕組みの要件

KPIの収集とそれに基づくフィードバックがきちんと行われる為には、人為的な加工が不要・不可能な仕組みで収集を行えるようにすることが肝要です。 多くの工場において、多くの指標が存在しています。 しかし、指標は良くなっても経営数字にインパクトが出ない、という事は起きていなかいでしょうか?これには


1. KPIと経営目標がリンクしていない

2. 収集した数値に人為的な解釈と加工が行われている


の2つの可能性があります。 弊社のスマートファクトリーシステムをはじめとして、テクノロジーの進歩によって多くのデータが自動で収集・集計することが可能になりました。 人手によらず数値を収集・集計することで、実態をありのまま映すことができます。 一方で、誰もが納得できる指標とする為には、現場の実態に即したKPIを、現場ともコミュニケーションを行いながら設定する必要があります。 しっかりと手間をかけて構築したKPIを、手間なく集計しスピーディーにフィードバックを行う、これがIoT時代のKPI運用と言えるのではないでしょうか。

一般的なKPIと現場で“見える”KPI

KPIは業務を行う中で収集して実務に反映できるものでないと、実際の効果がなかなか生み出されません。通常、KPIは財務諸表等から取得できるものが設定されますが、実務でのアクションと結果に結びつくKPIを設定することが、効果を創出するに当たって必要な事となります。


     
一般的なKPI
(例:在庫回転率)
現場で“見える”KPI
(例:プロセス別滞留日数)
メリット  取得が容易 (財務諸表等から取得可能) 期待した結果に繋がるアクションを引き出す
設定が容易
(Web検索等参考となる情報が取得しやすい)
幹部だけでなく現場レベルで活用できる
ベンチマークしやすい
デメリット 結果メインであるために、
問題は分かるが状況は変えづらい
設定に多少の時間が必要
データ取得にIT化が必要なケースもある

エイムネクストでご提供するサービス

エイムネクストでは、KPIの設定と運用を実現する為、以下のようなご支援を提供しております。


KPI策定サービス

→経営目標の実現を現場の活動に紐づけるKPIの策定


KPI運用ルール・マニュアル作成サービス

→作成したKPIの確実な運用と定着を実現


KPI収集システム構築サービス

→現場に負荷を掛けないKPI運用を実現

 ※お客様のシステム環境によって実現難易度は異なります。


お気軽にお問い合わせください。

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